平尾医院|豊橋市中松山町の内科、小児科、脳神経内科

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パーキンソン病

パーキンソン病外来について

パーキンソン病とは

運動情報を大脳運動野に伝える中脳黒質のドパミン減少により発病する脳の病気です。レビー小体が残存神経細胞に見られます。初老期に多く発病する人口10万あたり100~150人と比較的多く見られる脳神経疾患です。脳神経の老化が早まる病気とも言え人口の高齢化に伴い70歳代~80歳代の高齢患者さんが増加の傾向にあります。
パーキンソン病はゆっくりと進行する疾患であり、今のところ残念ですが完治は望めません。しかし現在使える薬剤を調節することで症状を緩和し長く良い状態を保つことが可能であり、平均寿命を超える患者さんも見られます。脳神経内科で早期診断と患者さんに合った薬物治療を受けていただき、パーキンソン病をコントロールしながら希望をもって生活できるよう全力でサポートさせていただきます。お気軽にご相談ください。

症状

<運動症状>
震戦(ふるえ)、固縮(筋肉のこわばり)、寡動・無動(動かしにくい)、姿勢反射障害(転びやすい)が知られます。その他、手指の変形・五十肩、すくみ足・ムズムズ足・開眼不良、姿勢異常(前かがみ・腰曲がり・斜め現象・首下がり)が見られます。

<非運動症状>
自律神経症状(便秘・排尿障害、起立低血圧、発汗障害)、精神症状(睡眠障害、強いこだわり、抑うつ)、感覚障害(体や手足の痛み、嗅覚障害)があります。

診断

動作緩慢、何もしない時に見られる振戦・左右差のある動き筋固縮姿勢反射障害、深部反射や眼球運動が正常、小脳症状がないこと、緩徐進行性の経過、Lドパ治療へ反応すること、頭部MR画像Iが正常、MIBG心筋シンチで心臓交感神経が減少していること(心臓が写らない)、DAT Scanで線条体の節前性ドパミン神経機能が低下していることを証明することにより診断されます。さらに下記パーキンソン症候群の鑑別が必要です。

鑑別疾患

薬剤性パーキンソン病
原因薬剤を中止することにより症状が改善されます。

血管性パーキンソン病
脳梗塞による下肢のパーキンソン病と考えられ、頭部MRIで基底核部のラクナ梗塞や大脳皮質下の慢性虚血性病変が認められます。

レビー小体型認知症(DLB)
認知機能が変動する進行性の皮質下認知症です。経過中パーキンソン症状を合併する場合があります。

進行性核上性麻痺(PSP)
垂直性眼球運動障害、パーキンソン症状、認知症を認める指定難病疾患です。頭部MRI(矢状断像)で中脳被蓋部・橋の萎縮(Humming bird sign)が認められます。

多系統萎縮症(MSA)
小脳性運動失調、自律神経障害、パーキンソン症状を認める指定難病疾患です。MSA-PとMSA-Cに分けられます。

MSA-Pは以前は線条体黒質変性症と言われた疾患で、頭部MRIでは被殻の萎縮(Hyper putaminal rim)が認められます。
MSA-Cは以前はOPCA(オリーブ・橋・小脳萎縮症)と言われた疾患で、頭部MRIで橋や小脳の萎縮(Hot cross bun sign)を認めます。

大脳皮質基底核変性症(CBD)
片側に失行で発病する皮質下性認知症です。基底核症状としてパーキンソン症状を認めますがLドパが無効です。指定難病疾患です。

治療

発病後5年程度は、Lドパ補充療法によく反応しハネムーン期と呼ばれます。Lドパ配合剤(レボドパ/カルビドパ配合剤、レボドパ/ベンセラシド配合剤)が中心です。
進行期に入るとドパミン神経が変性脱落しドパミンの保持ができなくなり以下の現象が出現します。

<ウエアリング・オフ>
血中Lドパ濃度が治療域以下となり、薬の作用が次の内服前に切れるのが自覚されます。下記薬剤によりオフ時間の改善を図ります。
①MAO-B阻害薬
②ドパミンアゴニスト
③COMT阻害薬
④Lドパ賦活型製剤
⑤アデノシンA2A受容体拮抗薬

<ジスキネジア>
ドパミン神経がさらに減少すると血中Lドパ濃度の治療閾値がさらに狭くなります。その結果、血中Lドパ濃度が治療閾値を容易に超えて不随意運動が出現するようになります。

この不随意運動は一度出現するとコントロールすることが困難です。若年者は病初期よりMAO-B阻害薬やドパミンアゴニストを使用し発現を予防します。それでもジスキネジアが出現した場合は、MAO-B阻害薬・COMT阻害薬を中止します。次にLドパの総量は変えず内服する回数を増加します。その結果ADLが悪化すればドパミンアゴニストの変更または増量、Lドパ賦活剤・アデノシンA2受容体拮抗薬を追加します。

<すくみ足・姿勢異常・嚥下障害>
薬剤によるコントロールが困難な症状です。理学療法士によるリハビリテーションが有効です。通院または訪問にて施行します。

外科的治療

薬によるコントロールが困難な重度の運動症状を有する患者さんに対して脳神経外科で定位脳手術が検討されます。
凝固術と脳深部刺激療法(DBS)の2つがあります。いずれもLドパへ治療への反応が良いことが条件となります。当院の連携病院に患者さんに合わせてご紹介させていただきます。

福祉制度

<特定疾患医療助成制度>
重症度がヤール3以上かつ生活障害度2度以上
12か月以内に指定難病に係る医療費総額が33,330円を超える月が年3回以上ある方
医療費の助成が受けられます。保健所へ指定難病申請診断書を提出する必要があります。

<訪問介護、訪問リハビリ>
40歳以上で市役所長寿介護課に介護申請し介護認定を受ける必要があります。