平尾医院|豊橋市中松山町の内科、小児科、脳神経内科

糖尿病

糖尿病について

糖尿病とは

インスリン分泌低下・インスリン作用不足により肝臓や筋肉でのブドウ糖の利用が障害され血管内にブドウ糖が溢れ出し高血糖を来す疾患です。自覚症状がないからと高血糖を放置すると、5年から20年の経過で神経、腎臓、網膜の細小血管障害が進行し足壊疽、血液透析、失明に至ります。

糖尿病予備軍とは

空腹時血糖(101~109mg/dl)は正常範囲内ですが動脈硬化が進みます。CAVI検査・頸動脈エコー検査にて動脈硬化の程度を調べることをご検討ください。空腹時血糖110~125mg/dlの場合、高血糖となります。糖尿病を否定できませんので、75gブドウ糖負荷試験を受けることをご検討ください。

血管障害

<細小血管障害>
網膜症、腎症、神経障害の原因となり高血糖が関与します。

<大血管障害>
脳梗塞、心筋梗塞、閉塞性動脈硬化症を引き起こす粥状動脈硬化症です。高血糖、脂質異常症、インスリン抵抗性、糖尿病予備軍が総合的に関与します。

分類

1型糖尿病
インスリン分泌が廃絶しているため、インスリン治療が必要です。
2型糖尿病
インスリン分泌低下・インスリン作用不足により発病します。日本人の糖尿病の大多数を占めます。
妊娠糖尿病
④その他

診断

空腹時血糖が126mg/dl以上または随時時血糖が200mg/dl以上、かつHbA1c6.5%以上が同日の検査で確認されますと糖尿病であると診断されます。HbA1c測定のみでは糖尿病とは診断されません。ご注意ください。

治療

運動療法
20~30分早歩きをしましょう。

食事療法
①間食を止めます。
②ご飯・パン・麺類・アルコール・お菓子・清涼飲料水・果物等の糖質を控えます。
③食物繊維(野菜・キノコ類)を食事の最初に取ります。
④腹八分を心がけ適正体重を目指します。

薬物療法
運動療法と食事療法をしても高血糖が続く場合、血糖値をできるだけ早く正常に戻すため薬物治療が行われます。

薬物療法

患者さんのライフスタイル、インスリン分泌状態、肝機能や腎機能、認知機能により下記の経口剤、自己注射剤(GLP1受容体作動薬、インスリン)が選択されます。

血糖が正常にコントロールされインスリン分泌が改善すれば、インスリンを経口剤へ戻すことも可能です。

<経口剤>
食事療法と運動療法で血糖がコントロールできない場合、下記経口剤を検討します。
①SU薬

DPP-4阻害薬
 GLP1を分解させるDPP4阻害→小腸におけるGLP1分泌亢進→インスリン分泌促進、グルカゴン分泌抑制→血糖低下

SGLT2阻害薬
 腎臓近位尿細管におけるSGLT2の作用を阻害→腎臓のブドウ糖再吸収を90%抑制→血糖低下

④α‐GI
 プチアリン、アミラーゼ、小腸粘膜上皮細胞に存在する二糖類分解酵素の作用を阻害→
 消化管からのブドウ糖や果糖等の単糖類の吸収が低下→血糖低下

⑤速効型インスリン分泌促進薬

インスリン抵抗性改善薬
 チアゾリジン誘導体。脂肪細胞の分化を促進しインスリン抵抗性を改善→血糖低下

BG薬
 肝臓での糖放出抑制、末梢での糖取り込み促進、消化管からの糖吸収抑制、GLP1分泌促進→血糖低下

⑧週1回服用のDPP-4阻害薬

⑨上記の配合薬

経口GLP1受容体作動薬

<自己注射薬>
GLP1受容体作動薬
1週間に1回の自己注射で、食事に関係なく注射が可能です。
BOT(持効型インスリン)+SU薬
週1回外来通院(朝食なし)していただき、SU薬のみ一部残して、持効型インスリンを1回自己注射します。早朝空腹時血糖値が140mg/dl以下を目指します。低血糖が出現する場合は、インスリンは減量せずSU薬を減量します。
持効型インスリン+超速効型インスリン
BOTでコントロールできない場合、超速効型インスリンを1日1~2回追加します。

最後に

インスリン治療を始めたが継続できず途中で経口薬に戻しても、インスリン導入前のコントロールに戻るだけです。多くの場合、今よりも血糖コントロールは良くなっており、インスリン治療の間、合併症の進行が遅れたと考えてください。

当院では、院内で血糖、HbA1cをしっかりと測定することが可能となっています。お気軽にご相談ください。