平尾医院

平尾医院|豊橋市の内科、小児科、脳神経内科

〒440-0875 愛知県豊橋市中松山町83
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物忘れ外来について

■認知症とは
認知症は病名ではなく、多くの原因があるので、医療機関(脳神経内科、脳神経外科、老年科、精神科)できちんと診断してもらうことが大切です。当院ではH20年10月より物忘れ外来を開設し、認知症の早期発見・早期治療に取り組んでいます。お気軽にご相談下さい。

■認知症の原因疾患
◆治療困難な認知症
1)アルツハイマー型認知症(AD)
2)レビー小体型認知症(DLB)
3)前頭側頭葉変性症(FTLD)
4)進行性核上性麻痺(PSP)
5)多系統萎縮症(MAS)
6)大脳皮質基底核症候群(CBS)

◆治療可能な認知症
1)脳血管性認知症(VaD)
2)慢性硬膜下血種
3)閉塞性水頭症
4)脳腫瘍
5)正常圧水頭症
6)ウエルニッケ脳症
7)薬剤性せん妄
8)高齢者てんかん
9)仮性認知症(老年期うつ病)
10)甲状腺機能低下症(粘液水腫)

■変性型認知症の出現頻度
高齢者剖検ではAD38%、FTLD32.5%、DLB23%と報告されADとFTLDが拮抗しています。

■物忘れ外来の実際
物忘れ外来では、ご家族・友人から集めた生活情報/物忘れ外来問診票(CDR、DASC-8)、神経学的検査、補心理テスト(MMSE、HDS-R、MOCA-J、ADAS-Jcog、CDT、ADL-Cog、IADL、BPS-Cog、DBD、改訂クリントン尺度)、脳画像診断(MRI、SPECT)、脳波、MIBG心筋シンチ、血液検査等を行い、認知症を総合的に診断します。特に治療可能な認知症を見逃さないように注意します。
AD等の変性型認知症は進行性であり、認知症の根本的治療は困難です。患者さんの疾患情報と生活情報から、生活のしずらさを軽減する観点より薬剤調整、睡眠薬、抗不安薬、抗精神病薬、漢方薬、抗認知症薬を処方させて頂きます。介護保険を利用した介護サービスをご利用頂きますと、ご家族の介護負担軽減と患者さんの認知症進行抑制を図ることが可能です。

脳血管性認知症(VaD)
認知症全体の約15%を占め、主に脳梗塞により脳組織が多発性又は局所性に破壊されることにより発症します。片麻痺、血管性パーキンソン病、尿失禁、物忘れ、見当識障害、実行機能障害、被害妄想等が認められます。不安・イライラ・意欲低下等の精神症状が前面に出るとうつ病と診断されることがあります。治療としては、高血圧・糖尿病・脂質異常症のコントロールや抗血小板剤の内服、リハビリテーションにより脳梗塞の進行・再発予防を行います。

■高齢者てんかん
意識が突然途切れ無目的な行動をしますが本人にはその記憶がありません。転倒することはありますが、けいれん発作はあまり見られません。脳波では、てんかん波を認めることは少ないと報告されています。抗てんかん薬で認知機能の回復が得られます。

■脳腫瘍、慢性硬膜下血種、正常圧水頭症
手術により認知機能の改善が期待できますので脳神経外科を紹介させて頂きます。

■アルツハイマー型認知症(AD)
エピソード記憶障害で発病する変性型認知症の代表的な疾患です。物忘れは徐々に進行し日時が怪しくなりやがて仕事や日常生活に支障が出るようになります。他人に物忘れを指摘されるとイライラして怒りっぽくなったり、失敗行動には取り繕いをして決して物忘れを認めようとはしません。抗コリンエステラーゼ阻害薬(ドネペジル、ガランタミン、リバスチグミン)は軽度以上のADの症状緩和に使用します。NMMD受容体阻害薬(メマンチン)は中等度以上のADの症状緩和に使用し、抗コリンエステラーゼ阻害薬との併用も可能です。漢方薬(抑肝散陳皮半夏)はBPSD(認知症の行動・心理症状)の改善に有効であるという報告があります。向精神病薬(アリピラゾール、オランザピン、クエアチピン、リスペリドン)は環境調整に抵抗するADに伴う精神障害に対して使用し、症状がが落ち着けばできるだけ早期に減量中止します。

レビー小体型認知症(DLB)
ADと異なり65歳未満に多く発症し、病初期は物忘れは目立たない、認知機能が変動しやすい、具体的な構築された幻視が繰り返し出現する、レム睡眠行動障害が見られる、パーキンソン症状が見られることが多い、系統的な妄想、失神・転倒しやすい、抗精神病薬にて過敏性がある等の特徴があります。抗コリンエステラーゼ阻害薬(ドネペジル)が中核症状である幻視や認知機能の変動に対して有効です。パーキンソン症状が悪化しやすいので少量から使用します。漢方薬(抑肝散陳皮半夏)や抗てんかん薬のゾニサミドはパーキンソン症状を悪化させず幻視や認知機能を改善させます。レム睡眠行動障害に対しては、寝る前の抗てんかん剤(クロナゼパム)が有効です。頭部MRIではADほど側頭葉内側部の萎縮は目立たず、SPECTで後頭葉の血流低下が証明されます。

前頭側頭葉変性症(FTLD)
ADと異なり65歳未満に多く発病し、初期は物忘れは目立たず、見当識も保持されます。初期から性格変化、社交性消失、無言、無関心、考え無精が見られます。行動障害が特徴的です。自分の行動を抑制できない(脱抑制)は初期から見られ、常同行動もよく見られ、食行動障害もあります。頭部MRIでは、前頭葉や側頭葉に強い萎縮が認められます。このような前頭葉症状で発病するタイプを前頭側頭型認知症(FTD)と呼びAD前頭型と症状が似ている事、ドネペジルで症状が悪化することよりADとの鑑別に注意が必要です。  言葉がうまく話せない、言葉の意味が分からない(意味記憶障害)等の側頭葉症状で発病するタイプもあり、前者を進行性非流暢性失語症(PNFA)、後者を意味性認知症(SD)と呼びます。どちらも進行すると前頭葉症状が加わりますのでFTLDとして経過をみます。治療としては抗精神病薬、SSRI、デイサービス、ショートステイを利用しながら経過を診ていくことになります。実際には治療が難しいことが多く施設入所となるケースが多い印象です。

■大脳皮質基底核症候群(CBS)
前頭・頭頂葉症状(失行、皮質下認知症)、基底核症状(筋固縮、無動)が中年以降に進行性に経過します。頭部MRIでは左右差のある大脳皮質萎縮が認められます(50%)。目的のあるジストニー様の不随意運動(他人の手徴候)が見られることが特徴とされますが頻度は低いです。治療は対症療法となります。 

■認知症との付き合い方
◆介護者の方へ
①認知症の現状を受け入れ患者さんが失敗しても励ましの指摘をしないようにしましょう。
患者さんは認知機能の低下により周囲とつながらなくなり、孤独や不安や不満を抱えて苦しんでいます。にもかかわらず認知症であることを認めることができません。失敗を指摘されても認めることができず怒られたと受け取り、言葉でうまく説明できず苛立ち追い詰められ、その感情がBPSDという形で現われるようになるからです。

②患者さんがデイサービスやショートステイを利用している間、介護から一時離れて心身の休息を図り介護のためのエネルギーを充電しましょう。

◆認知症の方へ
①家族、友人、介護スタッフとのつながりを大切にし、忘れることを怖がらず、今できる事・楽しめる事を継続しましょう。物忘れがあっても、あなたは一人ではありません。あなたとつながっている人たちがあなたのことを覚えており、あなたの暮らしを支えてくれます。大丈夫です!

②デイサービスやショートステイ等の介護保険サービスを積極的に利用し、脳の活性化を図るようにしましょう。プロの介護を定期的に受けると、心身とも元気になれます。